海外のSEO・GEO・AI検索情報を月水金にキュレーションする「SEGO News」を公開しました。
RSSで14媒体を監視し、AIスコアリングで重要度を判定し、人間が編集判断したコメント付きで届ける、無料のキュレーションメディアです。

このメディアは技術的にはかなりシンプルな構成で動いています。Next.js + Upstash Redis + Vercel Cron + Claude API。月額のランニングコストは約$25です。
この記事では、SEGO Newsの技術構成、スコアリングロジック、設計判断、3週間で組み上げた開発記録を、ほぼ全て公開します。
Takuma同じようなキュレーションメディアを作りたい方の参考になれば嬉しいです。


技術スタックの全体像
SEGO Newsは、SEGO本体(sego.jp)に新しいルートとして組み込みました。
既存のサイトとインフラを共有することで、ホスティングコストを増やさずに済んでいます。
使っている技術スタックは以下の通りです。
フロントエンド・サーバーサイド
Next.js 15.5.18 + TypeScript + Tailwind CSS v4。App Router を使用し、/news と /news/about の2ページ構成です。
SSR(Server-Side Rendering)でRedisから直接データを読み、revalidate = 60 で60秒キャッシュを効かせています。
ホスティング


Vercel Pro プラン。
月額$20で、Spend Management を$30に設定。実際の使用量は無料枠内に収まっていますが、SEGO News 公開によるアクセス増加を見越して念のためPro契約に切り替えました。
データベース


Supabase(東京リージョン)。SEGOの診断データと共用です。
News関連のテーブルは作っていません。記事データはすべてRedisに保管しています。


キャッシュ・データストア


Upstash Redis(東京リージョン)。これがSEGO Newsの中核です。
月水金の朝、Vercel Cronが起動して14媒体のRSSをパース → スコアリング → カテゴリ分類 → Redisに news:data というキーで保存します。
Webサイトはこの news:data を読むだけ。Redisから直接読むので、レスポンスは100ms以下です。
AI API


Anthropic Claude API。タイトルの日本語翻訳とせごにゃんコメント生成に使用しています。
Haiku をタイトル翻訳に、Sonnet をコメント生成に使い分けています。
月の呼び出し回数は、タイトル翻訳が約66回、コメント生成が約12回と少なめで、SEGO News単体での実費は月数十円程度に収まっています。



使いすぎ防止のため、月額キャップは$15に設定しています。
Cron
Vercel Cron。月水金 09:00 JST に /api/cron/fetch-news を叩く設定です。
vercel.json に書くだけで動きます。簡単すぎて拍子抜けしました。
キュレーションロジック:4要素スコアリング
SEGO Newsの心臓部は、記事スコアリングのロジックです。
各記事を100点満点で評価し、上位を表示する仕組みになっています。
スコアは4つの要素から構成されます。
媒体の権威性(22〜30点)
媒体ごとに固定のスコアを割り当てています。
一次情報源(OpenAI、Anthropic、Google、Microsoft Bing)が最も高く30点、業界トップメディア(Search Engine Land、Search Engine Journal)が25-28点、ベンダーブログ(Ahrefs、Semrush)が22点というイメージです。
個人ブログ(Aleyda Solis、Lily Ray、Mike King)は意外と高めに設定しています。



彼らは独自の検証データを発信することが多く、メディアより一次情報に近い場合が多いためです。
カテゴリ適合度(0 or 25点)
各記事のタイトル・本文からキーワード抽出し、SEGO Newsの4カテゴリ(AI検索・LLMO・アルゴリズム更新・SEO総合)に該当するかを判定。マッチすれば25点、しなければ0点という二値判定です。
シンプルですが、結果的に「SEO業界の記事だけが残る」効果があります。
新しさ(0〜20点)
公開日からの経過日数による線形減衰。公開当日が20点、10日前が0点。10日以上前の記事は自動的に圏外になります。



これは速報性を重視するメディアの特性上、必須の要素です。
キーワード関連性(0〜25点)
SEGOが独自に持つキーワード辞書(SEO・LLMO・AI検索関連の約200キーワード)との一致度を計算。出現頻度に応じて0〜25点を加点します。
- 「SEO」
- 「ChatGPT」
- 「Algorithm Update」
のような直接的なキーワードに加え、「E-E-A-T」「structured data」「llms.txt」のような専門用語も含めています。
合計100点で評価し、Featured(注目記事)は上位4記事を選定します。ただし、特定カテゴリへの偏りを防ぐため、カテゴリ多様性の制約も入れています(同カテゴリは最大2記事まで等)。
設計判断:3つのこだわり
技術構成より、むしろ設計判断のほうに時間をかけました。
個別記事ページを作らない
SEO的には個別記事ページを作ったほうが有利です。被リンク・滞在時間・検索流入の全てが取れるからです。
ですが、SEGO Newsではあえて作りませんでした。理由は著作権です。
記事タイトルの日本語訳と短いコメントは僕のオリジナルですが、それでも個別ページを作ってしまうと「キュレーション」より「コンテンツ複製」の色合いが強くなります。
クリックすれば必ずオリジナル記事に飛ぶ設計。これが、海外の専門家への敬意の表現だと考えています。
本文の翻訳・要約をしない
タイトルの翻訳とFeatured記事への40字コメントだけが、僕が手を加える部分です。
記事本文の翻訳や要約は一切しません。
「日本語で要約してくれたら便利なのに」という意見は予想できますが、これも著作権配慮です。
要約は「変形利用」とされ、グレーゾーンに入ります。リスクを取らずに済む設計を選びました。
AIに任せる範囲と、人間が判断する範囲を分ける
タイトル翻訳・コメント生成はAIに任せていますが、最終的に
- 「どの媒体を入れるか」
- 「スコアリング配点をどう設計するか」
- 「除外キーワードに何を入れるか」
は人間が判断しています。
これは哲学的な話ではなく、純粋に品質管理の話です。
AIは便利ですが、「業界の文脈」を理解するのは苦手です。人間が枠組みを作り、AIに作業を任せる、という分業が現状はベストだと考えています。
コスト構造:月$25の内訳
ランニングコストは以下の通りです。
| サービス | 月額 |
|---|---|
| Vercel Pro | $20 |
| Anthropic Claude API(実費) | 約$5 |
| Upstash Redis | $0(無料枠内) |
| Supabase | $0(無料枠内) |
| 合計 | 約$25 |
ただし、この数字には注意点があります。
Vercel Pro $20 は、SEGO本体と共用です。SEGO News のためだけに払っているわけではありません。
僕の場合は、SEGO本体(無料診断ツール)と News をひとつのプロジェクトに統合しているため、Pro契約をひとつだけ維持すれば済んでいます。
もしSEGO Newsを単体のサービスとして新規に立ち上げる場合は、最低でも Vercel Pro $20 + Claude API数ドル = 月$25前後 が必要になります。
Upstash Redis と Supabase は無料枠内に余裕で収まっています。
RSS から取得する記事は14媒体 × 月20本程度 = 月280記事。テキストデータなので合計でも数MBに収まります。Upstash Redis の無料枠(10,000コマンド/日)にも余裕です。
将来的にユーザー数が増えても、ボトルネックになりにくい構成です。



Vercel Pro の帯域・関数実行時間に余裕があるため、月10,000PV程度までは追加コストなしで運用可能だと見積もっています。
3週間の開発スケジュール
開発は2026年4月下旬から5月上旬の3週間で完了しました。
第1週:要件定義と媒体選定
何を作るかより、何を作らないかに時間を使いました。「個別記事ページを作らない」「要約しない」を決めるのに3日かかりました。
媒体の選定にも時間を割きました。最初は20媒体以上候補がありましたが、最終的に14媒体に絞りました。
除外基準は「Webinar・PR記事が多い」「更新頻度が低い」「他媒体と内容が重複しがち」の3つです。
第2週:実装
RSS取得 → パース → スコアリング → Redis保存 → 表示、という流れを実装。Next.js のApp Router で SSR ページを作るのは初めてでしたが、Vercelのドキュメントが充実しており、特に詰まりませんでした。
苦戦したのはスコアリングロジックの調整です。
最初は配点を直感で決めましたが、実データで動かすと「ベンダーブログばかりが上位に来る」という偏りが発生。試行錯誤の末、現在の配点に落ち着きました。
第3週:UI調整と公開準備
最も時間を使ったのは、実はUIの調整でした。
Featured記事のカードデザイン、せごにゃんコメントの表示形式、フッターのリンク構造、モバイル対応、OGP設定、サイトマップ更新、構造化データの設置。
「公開して恥ずかしくない品質」に持っていくのに、技術実装の倍以上の時間がかかりました。
公開してわかったこと
公開して数日経って気づいたのは、「自動化と人間判断の境界線」を引く作業の重要性でした。
最初は「全てAIに任せたい」と考えていました。スコアリングも、カテゴリ分類も、コメント生成も、すべてAIに丸投げするほうが効率的です。
ですが、実際に動かしてみると、AIだけでは「業界の文脈」が反映されないことが見えてきました。
たとえば「FAQマークアップは2024年から表示条件が変わった」というメタ知識は、AIには判断できません。
僕の手で除外キーワードや配点を調整しないと、結局は読む価値のない記事リストになってしまいます。
つまり、AIで自動化できるのは「作業」であって、「判断」ではありません。SEGO Newsは、AIに作業させ、人間が判断する分業の実験でもあります。
個人開発から見える、メディア運営の現在地
3週間の個人開発で得た最大の学びは、AI時代のメディア運営における「人間の役割」の再定義でした。
技術的には、Next.js とUpstash Redis、Claude API を組み合わせるだけで、海外SEO情報のキュレーションメディアは構築できます。
RSSフィードを14媒体監視し、AIスコアリングで自動評価し、Vercel Cron で月水金に自動更新する。
ここまで自動化できます。
ですが
- 「どの媒体を選ぶか」
- 「スコアリングをどう設計するか」
- 「個別記事ページを作らない判断」
- 「本文要約をしない判断」
といった設計判断は、すべて人間が手作業で行いました。
これらの判断には、海外SEO・LLMO・AI検索領域を10年以上見てきた経験が反映されています。
個人開発でキュレーションメディアを作る場合、自動化できる部分(実装・スコアリング・コンテンツ生成)と、人間が判断すべき部分(媒体選定・設計思想・編集方針)を明確に分けることが重要です。
この境界線の引き方が、メディアの品質と独自性を決めます。 SEGO News は、海外SEO・AI検索情報を効率よくキャッチアップしたい方のためのツールです。



情報収集の時間を減らしたい方は、ぜひ活用してみてください。




